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将棋クラブモバイル運営スタッフからのお知らせや戯言を日々アップシマス☆
[2011/2/5] 将棋ホラ~ 『指せますか』
今晩は・・・。
パーソナリティーの徳川埋蔵です。SCMと虚実の狭間。身も凍る凶歩の世界へようこそ・・・
ふぉっふぉっふぉ。
久々の将棋ホラ~投稿をご紹介します。今宵も狭間の世海へ身をゆだねましょう~…。凍える冬の恐怖怪談、はじまりはじまりぃ・・・
[R-18] この作品は過激な表現が含まれておりますので、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。また心臓の悪い方は、読むのをお控えくださいね…
※この物語はフィクションです。実際の場所・内容・人物・会社などとは無関係です。
将棋ホラー
投稿作品#012
投稿者: 保守記者 さん
Title:
『指せますか』
Hさんという非常に将棋の好きな年配の人がいる。
仕事の関係で平日の文化センターが主なのだが、少しでも暇ができると自転車に乗って近くの将棋の指せる文化センターまで出かけていく。
そのHさんが十年前にこんな体験をした。
ある夏のこと、まだ将棋仲間は誰も来ていないので、Hさんが棋譜並べをして考え込んでいると、うしろに人の気配がする。振り返ると、窓際の所にゆかたを着たひとりの白髪の男がぽつねんと立ってこちらを見ている。
その男がこちらの棋譜並べの様子を気にしているようで、見かけない人がいるとは珍しいなと思ったが、別に怪しい気配もないので、そのまま棋譜並べをつづけていた。
「指せますかぁ?」
いきなり背中越しに声をかけてきた。
びくっと驚いて振り向くと、ゆかたを着た男がいつのまにか自分のうしろに立っている。
窓際からここまで歩いて来たのなら、気配が感じられてもいいはずなのにと首をひねった。
「さっぱりですわ」
返事をすると、その男は無言でHさんの真横にきて、今度は目の前にある盤面を覗き込んでいる。
「指せますかぁ?」
また男は盤面を覗いたまま尋ねた。
「いやいや、見ての通りですわ」
Hさんは駒を手に取り、駒台に乗せた。そしてもう一度盤面に打ち付けようと顔を下げた。
「指せますかぁ?」
男の顔が、Hさんの顔のすぐ真正面にあった。びっくりして思わず持ち駒を落としたが、その時にはもうその男の姿はかき消えていたのである。
おどろいたHさんはそのままその日は切り上げた。
それから、しばらくは怖くて将棋をしに出かける気がしなくなった。
しかし、一週間もすると体がうずいてまた将棋を指しに出かけるようになる。
あの男が、また出た。
やはり、いつのまにか横にいて盤面を熱心に覗き込み、「指せますかぁ?」と聞いてくる。
そして、身体は将棋盤の横にあるはずなのに、顔だけをHさんの顔にくっつかんばかりに近付けて、「指せますかぁ?」とまた聞くのだ。
「本譜は上手く指せそうですよ」とか、「指せませんな」などと返事をすると、いつも男はどこかに消えてしまう。
ここ十年来、いまだに将棋を指すたびに時間、場所とは無関係にその男が現れるのだという。
「指せますかぁ?」
聞かれてなにか返事をすれば、いつもどこかにフッとかき消えるので、それはそういうものなのだと慣れてしまった。しかも局面が煮詰まってきていたりすると、その男はしばらく盤面を覗いているし、そうでもない時は「指せますかぁ?」とすぐ聞いてくるので、将棋好きの人なのだという気がして、別に悪い気はしないらしい。
仲間と一緒に将棋を指していても、やはりその男は現れる。
「指せますかぁ?」と尋ねられて、「指せませんなぁ」と答えていると、隣の仲間が「誰と話しとるんや」という顔をするらしい。
「どうもその男は、わしにしか見えていないようなんや」
Hさんはそう言った。
ゾゾゾゾゾゾゾ!!!!
これは体の芯にきますね!
恐ろすぃいいい!!
今宵もホラー投稿で楽しませていただきました・・・ありがとうございました。
ふぉっふぉっふぉ。
さて、
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