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[2011/2/5] 将棋ホラ~ 『投了の意義』

今晩は・・・。
パーソナリティーの徳川埋蔵です。SCMと虚実の狭間。身も凍る凶歩の世界へようこそ・・・

ふぉっふぉっふぉ。

今宵の作品も超大作となっとります。時間を見つけてじっくり狭間の世海へ身をゆだねましょう~…。凍える冬の恐怖怪談はじまりはじまり・・・

[R-18] この作品は過激な表現が含まれておりますので、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。また心臓の悪い方は、読むのをお控えくださいね…

※この物語はフィクションです。実際の場所・内容・人物・会社などとは無関係です。

将棋ホラー
投稿作品#011
投稿者: シュドナイ さん

Title:
『投了の意義』


某B町。
B町将棋倶楽部の一室に、大声が響いた。
「男なら最後まで諦めんなよ!おら、逆転してみろよ。」
「無理だと分かってるから、投了…………」
「許さん。」
先手側の男は、穴熊でしっかり玉を囲い…………飛車角はもちろん、全部こちらだし………と言うより、相手の自陣には玉と金しかない。

先手の男の名は、タクミといった。タクミの棋力は倶楽部でも群を抜いていて、当然一番の棋力であった。高校3年の彼は、ただ一つの欠点さえなければ、誰もがプロ棋士を勧めたに違いない。

「はい。いただき。」
タクミは相手の駒を全部取り、ついでに玉も取った。
「討ち取ったり????」
「ありがとうございました。」
対戦相手は慣れているからか、多少の文句も言わなかった。

タクミの唯一の欠点…………相手への礼儀…………………………とまでは行かないまでも、負けた相手に対する配慮だった。



さて、ある日のことである。
いつものように全駒で調子よく勝ち、上機嫌で帰宅途中のタクミは、鼻歌まじりですらある。
だが。

「いてて!!」
ドンと音がして、何かにぶつかった。
「ッ……なんだよ、アンタ。」
「………………」
道端に占いに似た机を置いた老爺がいた。
しかし、占いの道具は一切見えない。

「おじいさん。何してんの?」
「………………」

「………………」返答がない。というか、一点をみつめ、タクミに気付いていない。

「……?」タクミは不審に思いながらも、その場を去った。








だが。

次の角を曲がると、また例の老爺がいた。
「あれ?………おじいさん、さっきあそこに………」
「……………」

「……………」タクミは気味が悪くなり、その場を去った。

次の角を曲がるとまたいる。その次の角を曲がるとまたまたいる。
「だああ!!なんなんだよ!!!」
タクミはイライラして叫んだ。すると老爺が初めて口を聞いた。
「……………………………?」
「好きだよ!」
タクミが答えた。タクミにしか聞こえない声で、『将棋は好きか?』と聞いたのだ。
「何?将棋のゲーム?買わん。それで追っかけてきたのか。」
タクミに将棋のゲームを売ろうとする老爺は、口を曲げた。
「買うまで、逃がさない…だと?!」
タクミは顔をしかめた。
「わかったよ……………いくらだ?……1000円?まだましか…………買ったんだからついて来んなよ!」
次の曲がり角には老爺は居なかった。









その夜、タクミは一応プレイしてみることにした。ちなみにRomである。
「……………………………来た。」
長い、準備のあとにようやく来た。
「ゲームを始めます………早っ!レベルとか一手時間とかないのかよ。」
画面には、YESとハイのボタンがでてきた。
「ちょっwどっちにしろやんのかいw」
タクミは苦笑しながら、上のボタンのYESを押した。
とたんに、タクミは意識を失った。







気が付くと、タクミは真っ暗闇にいた。
「気付いたか?」
誰かの声がした。
「あ…………何がどうなった…………?そうかゲームをしていて……」
「ホラ、立て。始まるぞ。」
「始まるって何が。それ以前にここどこだ。アンタ誰だ。」
「黙れ、2七歩。」
「2七歩………って、ここは…………」
明かりがついた。目が慣れてくると、そこは盤の上だった。しかも。
「俺。刀持ってる?!」
「初手、2六歩。」
「さっきの声は王さま………って、俺歩かよ!!いやだあ突くなあ!!!」

数手後。
「やめろお!!!!」
タクミは取られた。
だが!!!
「あれ………死んでない…………」
「後手側へようこそ。」
「…………そうか。死なないのか。」ホッとした。


「王さま、金を下げて!」
タクミはその後、的確な指示をして、後手側を勝利へと導いた。但し、先手側が負ける際、王さまは切腹していた。






「だはあ!!!」
タクミは現実世界に帰還。
「時間喰ったな…………あれ?」
さっきボタンを押した時間と何ら変わっていない。
「まさか!!!!!!!!!!!!」
タクミは目を剥いた。スゲーものを手に入れた、と歓喜した。


次の日は香車だった。
桂馬、銀、金……………自分はしっかり守りに参加し、王さまに指示をだす。角飛車になると、自分は睨みをきかせ、指示をだした。
「見事だった飛車くん。明日は王になってもらおう。」
「王様ktkrーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
タクミは歓喜した。
罠に気づかず………








翌日、タクミがゲームを起動すると、はいが上、YESが下にあった。

感覚的に、上を押していたタクミは「はい」を押した。







盤上に現れる。しかし、様子が違った。
「王様、いよいよ今日が待ちに待った『あから2010』との対局です。」
「?!」
「絶対に勝ちましょう!!!」
「ちょっと待て!!!何で急にそんなのを…………」
「だって王様、はいを押しましたよね?」
飛車が言った。
「だからどうした。」
「レベルがHIGH…………」
「カタカナ英語か!!!!!」
あきれている場合ではない。
勝負が始まった。







終始、タクミの劣勢だった。しかし、なぜか詰めろも、必至もかからない。





事態に気付いたのは、先手側が自分しかいなくなってからだった。


と金に囲まれる。
「投了だ!!!!俺の敗けだ!」
と金の一人が顔を上げた。
「!」

老爺だった。そして、初めて回りに聞こえる声で言った。
「問答無用…………投了の意義を身をもって知るがよい……………」


タクミの頭に刀が降り下ろされた

 
きゃあああぁぁぁ!!!!
恐ろすぃいいい!!

今宵もホラー投稿で楽しませていただきました・・・ありがとうございます。

ふぉっふぉっふぉ。

さて、
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